Glossary Converter - Excelから用語ベースおよびTMXへの変換
2023年10月18日
読了目安時間:4分
Glossary Converter - Excelから用語ベースおよびTMXへの変換
RWS AppStoreというウェブサイトをご利用いただいたことはあるでしょうか。こちらではTrados Studioと連動するアプリや、Trados Studioの機能を拡張するプラグインが豊富に用意されています。アイテムの多くが無償で提供されていることも大きな特徴です。
今回はGlossary Converterというサードパーティ製アプリについてご紹介したいと思います。すでにお使いいただいているTrados Studioユーザーの方も多いかと思いますが、Excelの用語集(.xlsおよび.xlsx形式)をTrados StudioやMultiTerm Desktopで使用可能な用語ベースファイル(.sdltb形式)に簡単に変換するためのツールです。
RWSの開発によるアプリではないのですが、既存のExcel用語集をMultiTerm用語ベースに変換する際にはほとんど定番とも言える人気のアプリです。
「手元にExcel形式の用語集はあるのだが、どのようにTrados Studioで活用すればいいだろうか」といった場面でぜひご活用ください。
Glossary Converterのダウンロードとインストール
Glossary ConverterはRWS AppStore(https://appstore.rws.com/)より入手できます。検索ボックスに「Glossary Converter」と入力すると関連するアプリやプラグインが表示されるので、[Glossary Converter] をクリックします。
製品ページが表示されたら、[Download] をクリックします。
バージョン選択の画面に移ります。お使いのTrados Studioのバージョンに対応する最新バージョンのアプリを選択し、[I agree to be bound by RWS AppStore] をチェックして [Continue] をクリックします。
「Glossary Converter.zip」というファイルがダウンロードされ、その中の「SetupGlossaryConverter.exe」を実行するとインストールが開始されます。
インストールが完了すると、以下のようなメッセージが表示されます。Glossary Converterをすぐに起動する場合は Launch を、いったんインストーラーを終了し後で起動したい場合は Close をクリックしてください。
デスクトップ上にGlossary Converterのアイコンが作成されています。こちらから起動することが可能です。
Excel用語集を用語ベースに変換する
それではGlossary Converterを使用し、Excel用語集を用語ベースに変換してみましょう。「sample glossary.xlsx」というファイル名で、以下のようなサンプルの用語集を用意しました。今回は日英2言語の対訳用語集を使用しますが、3言語以上の対訳用語集でも問題ありません。いずれの場合でも、1行目に英語での言語名を入力してください。
1行目で指定する英語の言語名では、二次言語まで(つまり、単に English のように指定するのではなく English (United States) や English (United Kindom) のようにその言語の方言まで)指定することをお勧めします。
これは、Trados Studio 2022の一部のバージョンにおいて、用語ベースの言語設定が(English や Japanese のような)一次言語までの指定になっている場合は、用語認識が正常に機能しないことがあるためです。
Excel用語集ファイルの1行目に記載する二次言語までの指定を含む言語名の書き方については、Glossary Converterの [Settings] > [Language] を選択すると表示されるダイアログ内の表記に合わせることをお勧めします。
なお、同じ意味や用法の用語が複数ある場合は、同じセル内に「|」記号で区切って入力します。上の例では、「ケーブル」という日本語に対して「cable」および「wire」という2つの英語の用語がありうるため、「cable|wire」という形でセルに英語の訳語が入力されています。
Glossary Converterを起動します。[out] という枠に「sdltb」と表示されていることを確認します。
[out] に「sdltb」と表示されていない場合は、[out] の枠内をクリックし、下図の設定画面で [Default Output] から [MultiTerm Termbase] を選択して画面下部の [OK] をクリックします。([Default Output] に [MultiTerm Termbase] が表示されない場合はMultiTerm DesktopがPCにインストールされていないか、MultiTerm DesktopがPCに正しく登録されていない可能性があります。その場合は、MultiTerm Desktopをインストールするか、MultiTerm Desktopのリセットと修復を行ってください。)
Excelファイルを読み込む場合、xls 、xlsx あるいはcsvのいずれかのファイル形式である必要があります。Glossary Converterのメインウィンドウの上に、Excel用語集をドラッグアンドドロップします。
変換に必要な操作は、このドラッグアンドドロップだけです。処理が完了すると、元のExcel用語集と同じフォルダに、変換された用語ベースファイル(.sdltbファイル)が生成されます。.sdltbファイルのほかにも.mdf形式や.mtf形式のファイルがいくつか生成されていますが、変換プロセスの途中で生成される中間ファイルのようなものですので、無視して構いません。
MultiTerm Desktopで用語ベース(.sdltb)を開き、内容を確認できます。Excel上で「|」で区切られていた用語も、同じエントリの中の別の訳語としてインポートされました。
ExcelファイルをTMXに変換する
もうひとつ、Glossary Converterの便利な使い方として、「対訳形式のExcelファイルをTMX形式のファイルに変換する」というものがあります。TMX形式のファイル(汎用の翻訳メモリデータファイル形式)を介することで、対訳Excelファイルの内容を翻訳メモリにインポートすることが可能です。
対訳形式のExcelファイルを翻訳メモリに変換する方法については下記のブログ記事でもご紹介していますが、Glossary Converterを利用することでも同様のことを行うことができます。
この場合、Glossary Converterの出力時のファイル形式を変更する必要があります。Glossary Converterのメインウィンドウで [settings] をクリックします。
[Default Output] で [TMX (Translation Memory eXchange)] を選択し、[OK] をクリックします。
メインウィンドウの [out] の部分に、「tmx」と表示されたことを確認します。これで設定変更は完了です。
以下のような対訳形式のExcelを用意します。1行目に必ず言語名を入力してください。
あとはこれまでの操作と同様に、対象のExcelファイルをGlossary Converterのメインウィンドウにドラッグアンドドロップします。Excelファイルと同じフォルダ内にTMXファイルが生成されますので、こちらを翻訳メモリにインポートすれば対訳Excelファイルから翻訳メモリへの変換が完了します。
なお、Glossary ConverterはRWSの開発によるアプリではないため、RWSから直接サポートをご提供することができません。RWS CommunityのRWS AppStore Applicationsフォーラムをご利用ください(日本語でご投稿いただけます)。
RWS Communityに質問を投稿する方法については、下記のブログ記事をご覧ください。