Trados Studioの翻訳整合ツールの使用方法
翻訳の整合を行うことで、既存翻訳を今後のプロジェクトで有効利用できます。Trados Studioと直接連携されている翻訳整合ツールを使用すると、過去の翻訳を翻訳単位に変換できます。さらに、その翻訳単位を新規作成の翻訳メモリ(TM)に登録したり、既存TMに追加したりできます。
しかし、原文と訳文を常に完璧に整合できるとは限りません。将来使用するTMに高品質の整合済み分節を確実に追加するには、多くの場合、レビューや編集が必要です。
Trados Studio 2019のService Release 1では、翻訳整合エディタに優れた新機能が加わり、既存機能が強化されたことで、整合プロセスをより円滑に進められるようになりました。では詳しくご説明しましょう。
翻訳の整合における紐付けがより簡単に
以前は、複雑な整合を編集するために「整合編集モード」を使用する必要がありましたが、今回のリリースではこのモードが廃止され、「整合エディタ」で簡単に複数の分節を選択し、直接修正できるようになりました。
これは、整合で問題が多いエリアを作業する場合に特に便利です。Shiftキーとクリックを使用して、分割したい分節を自由に選択し、必要に応じて紐付けを修正することができます。
分節の新たな紐付けを行う際の選択肢も増えました。旧バージョンで対応していた1対1、2対2、1対3、3対1の紐付けに加え、1対4、4対1、1対5、5対1の紐付けも可能になりました。たとえば1対4では、1つの原文分節が最大4つの訳文分節に紐付けされ、整合されます。
特に長いドキュメントを整合する際は、スクロールでスムーズな編集が実現します。
分節の分割オプションと挿入オプション
分節の整合を完全にコントロールできるように、既存分節の分割機能と新しい分節の挿入機能を追加しました。
整合済み分節を翻訳メモリにインポートする前に分割したい場合は、原文分節または訳文分節の分割したいポイントにカーソルを置いて右クリックし、[分節の分割]を選択します。1対1で紐付けされている分節を分割する場合は、事前に分割しておく必要があります。
翻訳の整合では、対応する原文テキストがない分割された訳文分節が存在することがあります。この場合、新しい空の分節を手動で挿入し、一致するテキストを入力することで、より正確な整合結果が得られます。手順としては、分割された訳文の隣に表示される原文分節を選択し、右クリックして[前に挿入](選択した分節の前)または[後に挿入](選択した分節の後)を選択します。この逆の場合、つまり訳文文書に翻訳が存在しない原文についても同様の処理が可能です。
使いやすくなったナビゲーション
新しい移動機能を使用することで、整合のステータス、品質、または紐付けの種類に基づいて対象の整合分節に迅速に移動できます。たとえば、複数の分節を紐付けした分節や未確定ステータスの分節、整合品質の低い分節に移動できます。
この機能を使用すると、条件が一致する分節の整合の比較や、不統一と未整合の迅速な特定、確認したい特定の分節への移動を容易に行えます。
また、整合エディタでテキストの検索もできるようになりました。これには、単純なテキスト、正規表現、ワイルドカードをサポートする新しい[検索]機能を使用します。[次を検索]ボタンを使用すると、原文エリアまたは訳文エリアごとに検索結果をナビゲートできます。
整合メタデータフィールドを容易に除外
整合済み分節を翻訳メモリに追加する詳細インポートにおいて、整合メタデータフィールドを除外する新たなオプションが加わりました。
このオプションは、どんなときに使用するのでしょうか?整合済み分節には、原文ファイル名、訳文ファイル名、整合済み分節の品質レベルといった情報が含まれています。既定では、この情報(メタデータ)が、整合済みドキュメントからのTM一致訳が提示された際に[翻訳結果]ウィンドウに表示されます。しかし、[Add alignment metadata](整合メタデータを追加)チェックボックスをオフにすると、整合メタデータは表示されなくなります。このオプションは、既存TMに整合済みドキュメントを追加したいが、すでに多くのカスタムフィールドを使用しているために整合メタデータは表示したくない場合に役立ちます。
新機能を通じて、Trados Studioをますます活用していただけることを願っています。