Trados Studio / MultiTerm Desktopのリセット

島田 智紀 2023年9月29日 読了目安時間:5分
Trados Studio / MultiTerm Desktopのリセット

Trados Studio / MultiTerm Desktopのリセット

こんにちは。RWSグループの島田です。
 
Trados StudioおよびMultiTerm Desktopは起動時に各設定ファイルを読み込み、それをもとに動作します。しかしながら、コンピューターの使用状況によりこの設定ファイルが破損してしまうことがあります。その結果、ソフトウェアの起動時あるいは操作中にエラーが発生してしまうケースが考えられます。
 
たとえば、「昨日までは問題が無かったのに、同じ操作を行おうとすると突然エラーが出るようになった」といった場合、上記のような原因がまず疑われます。そこで設定ファイルの再構築を行い、ソフトウェアの動作を安定させる方法をご紹介したいと思います。
 
 
設定ファイル再構築の準備
 
Trados StudioおよびMultiTerm Desktopの設定ファイルの場所は、C:\Users\<ユーザー名>\AppDataのフォルダからたどります。この「AppData」というフォルダは既定では「隠しファイル」となっているため、まずWindowsエクスプローラー上で表示させる必要があります。
 
Windows 10/11の隠しファイルを表示させる方法につきましては、下記のMicrosoft社サポート記事をご参照ください。
 
以上の操作を実行すると、C:\Users\<ユーザー名>フォルダ内に「AppData」フォルダが半透明のアイコンで表示されます。設定ファイルの再構築を行う場合、前もってこの手順を実施しておくとこの後の操作が分かりやすくなります。
 
 
Trados Studio設定ファイルのクリア
 
AppDataフォルダを表示させ、Trados Studioの設定ファイルが存在するフォルダをたどります。Trados Studioのバージョンに応じて、設定ファイルは以下のフォルダに存在しています。
 
Trados Studio 2014
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\SDL\SDL Trados Studio\11.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\11.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\ProjectApi\11.0.0.0
 
Trados Studio 2015
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\SDL\SDL Trados Studio\12.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\12.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\ProjectApi\12.0.0.0
 
Trados Studio 2017
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\SDL\SDL Trados Studio\14.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\14.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\ProjectApi\14.0.0.0
 
Trados Studio 2019
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\SDL\SDL Trados Studio\15.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\15.0.0.0
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\ProjectApi\15.0.0.0
 
Trados Studio 2021
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\SDL\SDL Trados Studio\16
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\16
 
Trados Studio 2022
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Trados\Trados Studio\17
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Trados\Trados Studio\17
 
Trados Studio 2024
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Trados\Trados Studio\18
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Trados\Trados Studio\18
 
目的のバージョンに対応するフォルダの名前を任意に変更します。特に決まりがあるわけではありませんが、例えばTrados Studio 2022であれば、「17」というフォルダの名前を「17_old」などに変更します。Trados Studio 2019であれば「15.0.0.0」というフォルダの名前を「15.0.0.0_old」などに変更します。
 
注:  該当するフォルダが存在しない場合、そのフォルダについては無視してください。
 
 
Trados Studio の修復
 
設定ファイルのクリア後、プログラムの修復を行います。Trados Studio 2019 SR1以前とTrados Studio 2019 SR2以降では、若干手順が異なりますのでご注意ください。
 
Trados Studio 20221以前の場合は、[コントロール パネル] > [プログラム] > [プログラムと機能] より、目的のバージョンのTrados Studioを選択し、[修復] をクリックします。
 
 
Trados Studio 2024以降の場合は、[コントロール パネル] > [プログラム] > [プログラムと機能] より、目的のバージョンのTrados Studioを選択し、[アンインストールと変更]をクリックします。
 
 
[Do you want to Uninstall or Repair the application?] というダイアログが表示されますので、[Repair] をクリックします。同様にプログラムの修復が始まります。
 
 
修復が完了後Trados Studioを起動し、問題が解消しているかどうか確認します。設定ファイルのフォルダは自動的に再生成されますので、確認後、名前を変更したフォルダ(例えば先ほどの「15.0.0.0_old」)は削除します。
 
 
MultiTerm Desktop 設定ファイルのクリア
 
MultiTerm Desktopの場合について説明します。MultiTerm Desktop各バージョンの設定ファイルも、Trados Studioと同様に、「AppData」配下の下記のフォルダに存在します。
 
MultiTerm Desktop 2014
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL MultiTerm\MultiTerm11
 
MultiTerm Desktop 2015
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL MultiTerm\MultiTerm12
 
MultiTerm Desktop 2017
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL MultiTerm\MultiTerm14
 
MultiTerm Desktop 2019
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL MultiTerm\MultiTerm15 
 
MultiTerm Desktop 2021
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\SDL\SDL MultiTerm\MultiTerm16
 
MultiTerm Desktop 2022
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Trados\MultiTerm\MultiTerm17
 
MultiTerm Desktop 2024
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Trados\MultiTerm\MultiTerm18
 
MultiTerm Desktopの場合もTrados Studioの時と同様に、目的のバージョンに対応するフォルダの名前を「MultiTerm15_old」などのように任意に変更します。
 
 
MultiTerm Desktop の修復
 
MultiTerm Desktopの場合も、[コントロール パネル] > [プログラム] > [プログラムと機能] より行います。修復の場合は目的のバージョンのMultiTerm Desktopを選択し、[修復] をクリックします。
 
 
この設定ファイルのクリアは、異なるバージョンのTrados StudioおよびMultiTerm Desktopをインストールする場合にも、インストール後の動作を安定させる効果があります。ソフトウェアの動作に違和感があった場合、まずはこちらをお試しください。
 
また、これらのリセット操作を半自動で行なうTrados Freshstartというツールがあります。下記の記事をご参照の上、こちらもお試しください。
 
Freshstart - Trados Studio / MultiTermの設定リセットツール
 
参考として、下記のRWSナレッジベースもご覧ください。
 
Repairing your installation of Trados Studio
 
Repairing your installation of MultiTerm Desktop
島田 智紀
制作者

島田 智紀

シニアソリューションコンサルタント
RWSでTrados製品のコンサルティングをしております。
Trados認定トレーナー。
この執筆者の全記事: 島田 智紀