Trados Studioとニューラル機械翻訳の連携
2023年9月28日
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Trados Studioとニューラル機械翻訳の連携
こんにちは。RWSグループの島田です。Trados Studioでは翻訳メモリというデータベースファイルと同様に、機械翻訳のエンジンを翻訳リソースとして使用できます。翻訳者は翻訳メモリに蓄積された過去の翻訳例を再利用すると同時に、インターネットを介して機械翻訳からの訳文を参照し、翻訳作業の手助けとして役立てることができます。
RWSではクラウド接続型の機械翻訳ソリューションとしてLanguage Weaverというニューラル機械翻訳(以下NMT)サービスを提供しております。
今回のブログ記事ではTrados StudioとLanguage Weaverを連携させる方法をご紹介したいと思います。また、2023年4月現在において Trados StudioとサードパーティーのNMTサービスの連携を可能にするプライグインもご紹介します。
Language Weaverへの接続
サポート対象バージョンのTrados Studioライセンスをお持ちのユーザーであれば、Language Weaverを1アカウントあたり年間600万文字まで無料でご利用いただけます(ネットワークライセンスをお使いの場合、シート数(同時アクセスユーザー数)にかかわらず1アカウントあたり年間600万文字まで無料でご利用いただけます)。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
Trados StudioからLanguage Weaverへの接続手順を以下にご案内します。Trados Studio 2024の画面での手順になりますのでご注意ください。
まずTrados Studio上でRWSアカウントにサインインする必要があります。Trados Studio を起動し、画面右上の[サインイン]をクリックします。
サインイン画面が立ち上がりますので、RWSアカウントに登録されているメールアドレスとパスワードでサインインを行ないます。
[サインイン]と表示されていたところにユーザーの名前が表示されていることを確認してください。
それでは、Trados Studioの翻訳プロジェクト上でLanguage WeaverのNMTを使用してみましょう。
英語(en-US)から日本語(ja-JP)への翻訳プロジェクトを作成してみます。プロジェクト作成ウィザードより[翻訳リソース]の画面で、[使用]>[クラウドベースのリソース]を選択します。
[翻訳エンジンまたは 機械翻訳のいずれかを選択]というドロップダウンリストから[機械翻訳]を選択すると、言語ペアの横の[モデル]に[Generic - NMT]と表示されます。これはLanguage WeaverのNMTが利用可能であることを示しています。
こちらが、[エディタ]ビューでNMTを実際に使用した画面です。従来の機械翻訳を使用した場合、訳文フィールドの先頭に[AT]と表示されていました。新しいLanguage WeaverのNMTを使用すると[NMT]と表示されます。
上記の手順はTrados Studio 2024の画面ですが、Trados Studio 2022、2021、2019でも同様の手順でRWSのNMTサービスをご利用いただけます(NMTサービスの名称表示はTrados Studioのバージョンによって異なる場合がありますが、利用可能な機械翻訳エンジン自体は同じです)。
また、Trados Studio 2017 SR1、Trados Studio 2015 SR3からも下記のプラグインを使用することでLanguage Weaverに接続することが可能です(各バージョンの最新CUをご使用ください)。
Language Weaver (RWS AppStore)
ただし、Trados Studio 2022以降のライセンスをお持ちであることが前提となります。
機械翻訳と翻訳メモリの併用
また、ひとつのプロジェクトに対して機械翻訳と翻訳メモリを同時に割り当てることも可能です。
上記のように設定した場合、機械翻訳からの検索結果が優先的に表示されます。翻訳メモリ側の[更新]にチェックを入れると、翻訳エディタ上で確定された翻訳内容が翻訳メモリに蓄積されます。
このように新規分節の翻訳作業に機械翻訳の助けを借りて負担を軽減し、その結果を翻訳メモリに蓄積することで今後の翻訳作業への流用を行うという運用が可能になります。
その他の機械翻訳ソリューションとの接続
Trados StudioとAPIを介して連携ができる機械翻訳サービスを下記にご紹介します(2023年4月20日現在)。それぞれの機械翻訳サービスに接続するためのTrados StudioプラグインがRWS AppStoreより入手可能です。
●Language Weaver
RWSがクラウドを通じて提供するニューラル機械翻訳サービスLanguage Weaver(旧SDL Machine Translation Cloud/SDL BeGlobalを含む)との接続を可能にするプラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
※何らかの原因により上記の方法でTrados StudioからLanguage Weaverを利用できない場合は、本プラグインをお試しください。
※Trados Studio 2022 SR2およびTrados Studio 2024以降をお使いの場合は、上記プライグインの後継となるLanguage Weaver Provider(https://appstore.rws.com/Plugin/240)をお使いください。
●Language Weaver Edge
RWSがオンプレミスで提供しているニューラル機械翻訳エンジンLanguage Weaver Edge(旧SDL Machine Translation/SDL BeGlobal)との接続用プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
※Trados Studio 2022 SR2およびTrados Studio 2024以降をお使いの場合は、上記プライグインの後継となるLanguage Weaver Provider(https://appstore.rws.com/Plugin/240)をお使いください。
●MT Enhanced for Trados Studio(Google Translate/Microsoft Translator)
Google Translate API (V2、V3 - AutoML)およびMicrosoft Translatorとの接続プラグインです。翻訳済みの原文が重複して送信されることを防ぎ、翻訳対象の文字数を節約するオプション機能が搭載されています。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
※ MT Enhanced for Trados StudioプライグインはTrados Studio 2022 SR1には対応していません。Trados Studio 2022 SR1以降でGoogle TranslateおよびMicrosoft Translatorをお使いいただくには、新しいプラグインであるGoogle Cloud Translation ProviderおよびMicrosoft Translator Providerをご利用ください。
●T-3MT Plugin(ロゼッタT-3MT)
ロゼッタ社のT-3MT機械翻訳サービスとの接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちらをご覧ください。
●DeepL Translation Provider
DeepL機械翻訳サービスとの接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。本プラグインの利用にあたっては、DeepL社との有償契約(AdvancedまたはUltimateプラン)が必要となります。DeepLの料金プランについてはこちらをご覧ください。
●Amazon Translation Provider
Amazon Translate機械翻訳サービスとの接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
●TexTra Trados Addon(NICT みんなの自動翻訳@TexTra)
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した機械翻訳サービス「みんなの自動翻訳@TexTra」との接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちらをご覧ください。
●Alexa Translations A.I.
Alexa Translations A.I. (法務、財務、セキュリティ分野に特化してトレーニングされた機械翻訳サービス)との接続プラグインです。
●Intento MT Hub
GPT-4を活用する機械翻訳エンジンをはじめとする20 以上の機械翻訳システムやカスタムモデルへのアクセスを提供するIntento MT Hubとの接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
●Custom.MT Translation
複数の機械翻訳サービスや独自のオープンソース機械翻訳モデルを一括管理して利用できるCustom.MTサービスとの接続プラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
●AI Professional
OpenAIのAPIを通じてOpenAIの大規模言語モデル(LLM)とTrados Studio 2022 SR2を接続するプラグインです。プラグインの利用方法についてはこちら(英語)をご覧ください。
※Trados Studio 2024をお使いの場合は、上記プライグインの後継となるAI Assistant機能を含むプラグインOpenAI provider for Trados(https://appstore.rws.com/Plugin/249)をお使いください。AI Assistantについて詳しくは、AI Assistantのご紹介 ~Trados Studioでの翻訳/レビューに生成AIを活用~もご覧ください。
注: Trados Studioで上記の機械翻訳サービスを利用するにあたっては、プラグインのインストールだけでなく、各機械翻訳サービスとの契約が必要になる場合がありますのでご注意ください。 上記プラグインの提供は無償にて行なわれますが、機械翻訳サービスの利用に関しては各サービスに応じた利用料金が発生する場合があります。
また、各機械翻訳サービスに転送されるデータのセキュリティ等については、各サービスの提供元に直接お問い合わせいただくか、各社の利用規約、プライバシーポリシー等をご確認ください。