Tradosの新機能 - 2023年第2四半期の概要

Camille Avila 2023年7月27日 読了目安時間:6分
過去3か月間で、Tradosは飛躍的に進歩しました。中でも、Language Weaverの機械翻訳がすべてのエディションに搭載されるようになったことが注目されています。機械翻訳の追加は、お客様にとって翻訳のすべてを可能にするという目標を達成するために不可欠です。この機能は以前、Trados StudioとTrados Enterpriseに搭載されていましたが、現在はTrados TeamとTrados Accelerateにも搭載され、それぞれ年間6,000万文字まで翻訳できるようになりました。TradosとLanguage Weaverが自動的に翻訳のすべてを可能にするための理想的な組み合わせである理由について詳しくは、ウェビナー(録画)をご覧ください。
 
お客様をさらにサポートするため、当社はクラウドベースの環境やシームレスに統合されたデスクトップの翻訳支援ソフトウェアに新たなイノベーションを継続的に導入しています。このような更新は、リリースと同時にお客様に活用していただけるよう、自動的に提供されます。Tradosのさまざまな開発について最新情報を提供するため、このブログでは、四半期ごとの主な更新の概要をご紹介していきます。機能強化について詳しくは、RWSコミュニティでご確認ください。
 
新しい翻訳管理機能により、品質と柔軟性が向上

翻訳品質の向上:Tradosを使用すると、翻訳プロセスの開始時から各段階で品質を向上させることができ、翻訳中に品質を維持して、客観的に測定することができます。
  • 効果的な用語集管理は、正確性と一貫性を確保するために、プロジェクトの開始前から重要な役割を果たします。用語集を使用しない、または更新しないと、間違った用語や禁止用語の使用などの問題が発生する可能性があります。Tradosでは、「ステータス(システム)」という新機能を追加することで、組み込みの用語集管理機能が強化されています。これにより、ユーザーは禁止用語を指定し、詳細な説明を登録することができます。このステータスフィールドにより、Online Editorで特定のアクションが開始され、禁止されている類義語を迅速に識別して、スマートアクションから除外することができます。これにより、リンギストは未承認の用語集を使用できなくなり、結果的に翻訳の品質、一貫性、生産性が向上します。
  • Tradosは、プラットフォームに統合されている完全に自動化された強力な品質保証(QA)機能を通じ、翻訳エラーに効率的に対応します。これにより、翻訳が事前に定義されたルールに沿っているかどうかを積極的に確認し、正確性と一貫性を高めることができます。これらのルールは、[プロジェクトの設定]にある言語固有のQAチェックの新たな設定機能を使用することで、言語に合わせて一層細かくカスタマイズできるようになりました。この機能により、ニーズに応じたQAチェックが可能になり、訳文言語のニュアンスを考慮して誤検出を減らすことができます。さらに、QAチェックで検証エラーが特定されたあとのワークフロー内でのファイルの返信回数を設定したり、検証エラーが報告されていない場合のみファイルを次の段階に進めたりすることもできるようになりました。
  • Tradosの翻訳品質評価(TQA)機能では、翻訳品質を客観的に評価し、あいまいさや主観性を排除することができます。言語レビュアーは、事前定義した条件に基づいて翻訳の特定のエラーを指摘できるため、最初から明確かつ期待どおりの成果を上げることができます。また、6種類のTQAモデルから選択でき、新たにカスタムモデルの作成機能も追加されたため、ユーザーは特定のニーズに合わせて評価プロセスをカスタマイズできます。この作成機能では、新しいカテゴリの定義、サブカテゴリの追加、必要に応じた重大度レベルの変更などを行うことができます。さらに、レビュアーがTQAを実施し、品質向上のためのフィードバックを提供すると、翻訳者はレビュアーが挙げた個々の問題を確認し、解決できるようになりました。
カスタム翻訳品質評価モデルを示すスクリーンショット


翻訳コラボレーションの強化により、プロジェクト作成の効率化と円滑な進行を実現

柔軟なベンダー管理:Tradosでは、翻訳ベンダーとのコミュニケーションとワークフローを簡素化することで、共同作業を効率化し、誤解が生じないようにすることができます。ベンダー管理機能を使用すると、ベンダーデータベースを一元管理し、プロジェクトに関連したテンプレートに基づいてベンダーの見積もりを自動で作成することができます。最近、ベンダーや他のユーザー間でタスクを割り当てたり、ベンダー間でタスクを転送したりする際の柔軟性がさらに向上しました。プロジェクトの計画時やベンダー見積もりの承認時など、さまざまな段階で、タスクを別のベンダーに再割り当てできるようになりました。これにより、ベンダーがタスクに対応できなくても、リソースを確保して、プロジェクトを順調に進めることができます。

ベンダーの再割り当てを示すスクリーンショット
 
幅広い機能強化により、プロジェクトマネージャーのユーザー体験が向上しています。たとえば、次のような機能があります。
  • 新しい[ショートプロジェクトID]フィールドにより、Tradosでプロジェクトを判別しやすくなり、関係者間のコミュニケーションがスムーズになります。
  • [翻訳メモリ]ビューでフィルタリングした翻訳メモリのエクスポートを有効にすると、特定のユーザーまたは期間の翻訳単位をエクスポートできます。
  • システム内でさまざまな種類のユーザー、グループ、ベンダーを表す図形が導入され、個々を判別しやすくなりました。
  • 原文言語と訳文言語が同じプロジェクトを作成できます。これにより、原文言語の編集サービスの提供、一貫性と言語固有ルールへの準拠を目的としたコンテンツの最適化、今後の他言語への翻訳を視野に入れた機械翻訳の出力結果の改善が可能になります。
  • グループ内の複数のプロジェクト間でファイルを一括置換できます。ユーザーは、ファイルをアップロードするプロジェクトの選択と、原文言語と訳文言語の指定を求められ、その後、アップロードされたファイルが自動的にタスクと照合されます。
原文言語と訳文言語が同じプロジェクトを示すスクリーンショット

新しい翻訳生産性機能により、翻訳プロセスのスピードアップと一貫性の向上を実現
 
翻訳のすべてを可能にするという取り組みの一環として、ローカリゼーションのプロをサポートするため、最新のTrados Studio 2022 Service Release(SR1)では、強力な新機能を搭載し、初期の2022リリースで提供した機能を強化しています。たとえば、次のような機能があります。
  • 新しいデスクトップエディターテクノロジー:ファイルを開く時間が短縮され、大容量ファイルの処理がシームレスになり、見やすさが高まった結果、ユーザー体験が向上しています。
  • マネージャビューでのTrados GroupShareプロジェクトの完全サポート:ご記憶かもしれませんが、Trados Studio 2022にマネージャビュー(ベータ版)が導入されたことで、プロジェクトやファイルの管理で統一されたアプローチを利用できるようになりました。当初はローカルのTrados Studioのプロジェクトのみに対応していましたが、新しいビューではTrados GroupShareのプロジェクトも処理できるようになり、これでローカルとサーバー、両方のプロジェクトに完全に対応できるようになりました。クラウドプロジェクトや他の形式のプロジェクトとの互換性もまもなく実現します。
  • 大容量の翻訳メモリや用語ベースのクラウドへの移行をサポートするなど、Trados Studioとクラウドのシームレスな統合には継続的に改善が行われています。
  • 新しいアプリ「OpenAI Translator」は、ChatGPTの背後にある大規模言語モデルをTrados Studioで利用できるようにします。
 
詳しくは、こちらのSR1新機能のブログか、「Trados Studio 2022 SR1の新機能」動画をご覧ください。
 
今回の四半期ごとの概要はお楽しみいただけましたでしょうか。次回は10月のお届けになります。ぜひ楽しみにお待ちください!当社はTrados製品ポートフォリオ全体でクラウドファーストの戦略を継続しており、お客様のビジネス目標の達成に役立つ機能をこれからも積極的に提供していきます。
 
Tradosをまだ使用されていない場合は、ぜひ当社のソリューションの詳細についてお問い合わせください。
Camille Avila
制作者

Camille Avila

Product Marketing Manager
Camille Avilaは、翻訳業界で8年間の経験を持つRWSのSenior Product Marketing Managerです。現在、Trados製品スイートを統括しています。法人市場向けのローカリゼーションに取り組むCamilleの主な役割は、コンテンツを確実に理解されるようにして顧客との効果的なコミュニケーションを支援することです。
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