Tradosの新機能 - 2023年第3四半期の概要

Camille Avila 2023年10月10日 読了目安時間:5分
この数か月間のTradosのさまざまな進歩を振り返りたいと思います。中でも注目したいのが、言語処理AIの大幅な強化、プロジェクトとタスクのスケジュール設定の簡素化、そして、プロジェクトに導入されたまったく新しい共同作業の方法です。

この数か月間のTradosのさまざまな進歩を振り返りたいと思います。中でも注目したいのが、言語処理AIの大幅な強化、プロジェクトとタスクのスケジュール設定の簡素化、そして、プロジェクトに導入されたまったく新しい共同作業の方法です。これらの機能の詳細とその実際の動作を確認したいという方は、近日開催予定の四半期ごとの概要ウェビナーにご登録ください。 

最近追加された機能はこれだけではありません。Tradosは、継続的なイノベーションと機能強化によるメリットをお客様に提供し、誰もがあらゆるコンテンツを効率的に翻訳できるよう支援します。このブログでは、開発を重ね、リリース時に利用可能になるさまざまな機能について最新情報を確実にお届けするため、四半期ごとに主な更新内容をご紹介しています。機能強化について詳しくは、RWSコミュニティをご覧ください。


翻訳コラボレーションの強化により、プロジェクト作成の効率化と円滑な進行を実現 

プロジェクトコラボレーションを強化し、プラットフォーム内でシームレスにコミュニケーションできるようにしました。ユーザーがアプリケーションを離れ、電話やメールで細切れのやりとりをしなければならない時代は終わりました。今回の新機能は、部門の枠を越えたプロジェクト関係者による、プロジェクトレベルのコミュニケーションを大幅に改善します。このイノベーションは、プロジェクトマネージャーとコンテンツ依頼者の間でカスタマーポータルを介したインタラクションを可能にするものです。ユーザーは特定のプロジェクトの枠内でメッセージをやり取りできます。 

まずは、各プロジェクトの登録者リストを自動作成する機能です。関心のあるプロジェクトに新しいコメントが追加されると、関係者に通知されるようになります。登録者リストには基準が設定されており、たとえばプロジェクトの作成者やプロジェクトマネージャーは自動的に関係者と見なされます。プロジェクトの作成後は、コメントが追加されるたびに、登録者リストに基づいてアプリケーション内とメールで通知が送信されます。 

プロジェクトに既存または未読のコメントがあるときは、視覚的な表示を通してユーザーに知らされます。新しいコメントのチェックと対象ユーザーの特定は定期的に実行され、一定の間隔で1通のメールに情報が集約されます。 

また、コミュニケーションをより明確にするため、プロフィール写真を導入しました。ユーザーは、写真をアップロードしてユーザー名(イニシャル)に添付したり、事前に用意された豊富なTradosアバターから選択したりして、自分のプロフィールをパーソナライズできます。この更新により、活発で親しみやすいコミュニケーションが促進されます。 

*この機能は10月中に完全に展開されます。

In platform communication

スクリーンショット:コンテンツ依頼者とプロジェクトマネージャーのやりとり(プラットフォーム内)

翻訳のコラボレーションを強化するために追加された新機能はほかにもあります。 

  • カスタマーポータルの[プロジェクトの詳細]ページがリアルタイムに更新されるため、プロジェクトの変更に合わせてページを手動で更新する必要がなくなりました。 
  • ユーザーインターフェイスで、既存言語(英語、ドイツ語、フランス語、フランス語(カナダ)、日本語、スペイン語、中国語、オランダ語、イタリア語、アラビア語)に加えてウェールズ語がサポートされるようになりました。 
  • タスクを返すことができるワークフローでは、タスクが返された回数が表示されます。たとえば、品質保証チェックタスクや言語レビュータスクが返されると、ステージビューに反復回数が表示されます。これにより、プロジェクトマネージャーはタスクの進行状況を追跡できます。 
  • 管理者向けに、特定のユーザーのメール通知を無効にするオプションを用意しました。
 

UI language selection

スクリーンショット:ユーザーインターフェイスの言語選択オプション


新しい翻訳管理機能により、自動化と柔軟性が向上  

新たにスケジュールテンプレートが加わりました。これはプロジェクトとタスクのスケジュール設定を簡素化する優れた機能で、プロジェクト管理を効率的かつ効果的に行い、スケジュールどおりに完了させるためのものです。 

スケジュールテンプレートを使用すると、プロジェクト作成時にプロジェクトの締め切り日が自動的に設定されます。また、テンプレート設定時に個々のタスク期間を微調整し、対応する確認通知を指定することもできます。たとえば、翻訳タスクを常に3日間と設定し、確認通知を4時間前に送信するように指定できます。また同時に、言語レビュータスクを1日間と設定し、確認通知を2時間前に指定することもできます。

Configured schedule template
スクリーンショット:設定済みスケジュールテンプレート
 

スケジュールテンプレートは汎用性が高く、タスクを個別に選択して設定する場合でも、ワークフロー内のすべてのタスクに設定を適用する場合でも対応できます。また、言語ごとに期間を調整して、プロジェクト計画の精度を高めることもできます。ワークフローのニーズに合わせてスケジュールテンプレートを設定したら、プロジェクトテンプレートに追加できます。こうすることで、スケジュールテンプレートを使用して作成したすべてのプロジェクトに、定義済みのスケジュールが適用され、設定した内容が確実に反映されます。 

注目すべきは、期限のカウントダウンが始まるのが、プロジェクトの作成時ではなく、ワークフローの開始時である点です。作成後すぐに開始されないプロジェクトもあることを考慮し、このように設計されています。また、プロジェクトマネージャーとコンテンツ依頼者が必要に応じて別の締め切り日を指定できるよう、プロジェクトの締め切り日を手動で変更できる機能も備えて、制御性と適応性を最大限に高めています。

スクリーンショット:プロジェクト作成時に締め切り日を自動的に設定


新しい翻訳生産性機能により、翻訳プロセスを高速化

Tradosは、ローカリゼーションプロセス全体で言語処理AIを活用しています。まずご紹介したいのが、Trados Studio用の「OpenAI Translator」アプリです。このアプリは、汎用の大規模言語モデル(LLM)を活用して翻訳を支援するように設計されていますが、このたび、プラットフォーム全体で新しい言語処理AI機能を活用できるようにしました。今回は、次の主要機能をご紹介したいと思います。 

  • Trados Copilot:必要に応じていつでも、どこでもインテリジェントなサポートを提供します。Trados Copilotは、Tradosプラットフォーム内で言語処理AIを活用するための主要なインターフェイスとなります。最初に提供したスマートヘルプでわかるとおり、Trados Copilotを使用すると、ユーザーは質問の回答をすばやく簡単に確認できます。言語処理AIは、質問を分析し、その意味を解釈して、信頼できるソース(製品ドキュメント、Tradosのブログ、サポート用ナレッジベースなど)を検索し、作業中のユーザーにインテリジェントなサポートをリアルタイムに提供します。Trados Copilotは、今後、レポート作成、プロジェクト管理、レビューなどのタスクを支援できるよう、徐々に進化していきます。 
  • 生成翻訳のパワーを活用し、優れた結果を生み出します。翻訳エンジンは、登場以来、RWSのクラウドプラットフォームの中核機能です。翻訳メモリ、用語ベース、機械翻訳サービスを、言語資産の統合リポジトリへスムーズに統合し、高品質な翻訳結果を提供します。今回、言語処理AIにより、翻訳エンジンを大幅に強化して生成翻訳を提供できるようになりました。ユーザーが確立した言語データにLLMのパワーを合わせて、相乗効果を得られます。また、過去の分節の翻訳や推奨される翻訳スタイル(公式、非公式など)などの要素を翻訳エンジン内に設定することで、高品質の翻訳が実現し、ポストエディットの必要性を軽減できます。

Trados Studio 2022 CU7とCU8もリリースしました。これらには、次のような機能強化が行われています。 

  • クラウド翻訳エンジンを使用したAnyTMのサポートを追加一致しないが関連性のある、ローカルプロジェクトの2次言語ペアに対し、クラウド翻訳メモリ(TM)を使用できるように変更が加えられました。 
  • Trados Studioのアクセシビリティを向上: 
    • [新しいプロジェクト]ウィザードの[翻訳メモリと文書の設定]にあるボタンと、[プロジェクトの設定]の[用語ベース]にあるボタンに、Tabキーを使用してアクセスできるようになりました。 
    • [新しいクラウド プロジェクト]ウィザードにある複数のフィールドにラベルが追加され、Windowsのナレーター機能などの音声読み上げ機能が、表示される各フィールドを正しく読み上げられるようになりました。[新しいクラウド プロジェクト]ウィザードの[全般]ステップと、[プロジェクトの設定]の[プロジェクト]メニューでキーボードナビゲーションがサポートされ、より論理的なパターンに従うようになりました。 
  • 新しく追加されたショートカット表示を更新したとき、[ようこそ]タブにショートカットが自動的に表示されるようになりました。
 

 Trados Copilot

スクリーンショット:質問の回答を提示するTrados Copilot


今回の四半期ごとの概要はお楽しみいただけましたでしょうか。次回は1月のお届けになります。ぜひ楽しみにお待ちください!当社はTrados製品ポートフォリオ全体でクラウドファーストの戦略を継続しており、お客様のビジネス目標の達成に役立つ機能をこれからも積極的に提供していきます。  

Tradosをまだ使用されていない場合は、ぜひ当社のソリューションの詳細についてお問い合わせください。

Camille Avila
制作者

Camille Avila

Product Marketing Manager
Camille Avilaは、翻訳業界で8年間の経験を持つRWSのSenior Product Marketing Managerです。現在、Trados製品スイートを統括しています。法人市場向けのローカリゼーションに取り組むCamilleの主な役割は、コンテンツを確実に理解されるようにして顧客との効果的なコミュニケーションを支援することです。
この執筆者の全記事: Camille Avila