Tradosの新機能 – 2023年第4四半期の概要

Georgina Wheeler 2024年1月15日 5分
この数か月間のTradosのさまざまな進歩を振り返りたいと思います。中でも注目したいのは、引き続き言語処理AIをかなり強化したこと、ワークフロー機能に大幅な変更を加えたこと、そしてまったく新しい音声入力機能をリリースしたことです。これらの機能の詳細とその実際の動作を確認したい方は、近日開催する四半期ごとの概要ウェビナーにご登録ください。 
 
最近追加された機能はこれだけではありません。Tradosは、継続的なイノベーションと機能強化によるメリットをユーザーに提供し、誰もがあらゆるコンテンツを効率的に翻訳できるよう支援します。このブログでは、開発を重ね、リリース時に利用可能になるさまざまな機能について最新情報を確実にお届けするため、四半期ごとに主な更新内容をご紹介しています。機能強化について詳しくは、RWSコミュニティをご覧ください。 

新しい翻訳管理機能により、自動化と柔軟性が向上

ワークフローの進化:ローカリゼーションのワークフローの改善はTradosの要です。2020年に導入されたワークフローエディタでは、ワークフローのカスタマイズと自動化が容易なため、時間を大幅に節約できます。最近、ワークフロー機能への継続的な取り組みの一環として、この機能のリリース以来最も重要な変更を行いました。 
 
多くのユーザーから要望のあった、配信済みのファイルを変更できる機能です。最初のファイル配信後にフィードバックを受けた場合に非常に役立ちます。これを実現するために、ワークフローテンプレートに2種類の新しいタスクを追加しました。 
 
  1. 自動タスクのFile Delivery(ファイル配信)。ファイルがこのワークフロータスクを通過すると、完了済みとしてマークされ、ダウンロード可能になります。ワークフローの設計時にこのタスクを複数回含めれば、複数の配信に対応できます。 
  2. 手動タスクのHold for Feedback(フィードバックのために保留)。このタスクでは、受け取ったフィードバックに適切に対応できるように、既定でファイルが保留されます。  
 
また、Flexible Workflow(フレキシブルワークフロー)という新しい既定のテンプレートも追加しました。このテンプレートを使用すると、ユーザーは事前の設定なしでタスクの完了時にルートを選択できます。基本的に、これでワークフロー全体にわたり前にも後ろにも移動することが可能になりました。  
 
ワークフローエディタでは、操作性の向上のために、ワークフロータスクのルート表示オプションが新しくなりました。[水平]、[垂直]、[ハイブリッド]、[直線]です。この機能強化により、複雑なワークフローでもルートが見やすくなりました。また、新しいハイライト機能も追加され、ルートやタスクの上にマウスを置けば、それらを簡単に識別できます。 
 
Workflow
スクリーンショット:新しい[Hold for Feedback(フィードバックのために保留)]タスクをワークフローで使用 
 
 
ベンダー管理のユーザー体験の向上:サードパーティの翻訳パートナーを使用する場合に、翻訳パートナーとそのユーザーをベンダーデータベースで一元管理できます。注文テンプレートを使用すると、各ベンダーと価格モデルについて合意を得ることができます。これにより、プロジェクトを提案する際に、ベンダーの見積もりを自動的に生成し、承認または調整することができます。ベンダープロジェクトマネージャーは直接Tradosからアクセスして割り当てを行えるため、コラボレーションとワークフローが効率化され、伝達ミスがなくなります。 
 
この数か月間で、ベンダー管理のユーザー体験がさらに向上しました。ベンダー用の新しい領域が導入され、ユーザーがベンダープロジェクトマネージャーとしてログインすると、この領域がメインナビゲーションバーの[Orders(注文)]の下に表示されます。この領域では、ベンダープロジェクトマネージャーは円滑かつ順調なプロジェクト進行に必要な情報にアクセスできます。次のような新機能が豊富に用意されています。  
 
  • ベンダーに関連付けられた注文のリスト。注文に割り当てられたベンダープロジェクトマネージャーではないユーザーでも表示できます。 
  • 追加情報の表示。プロジェクトをクリックし、進行中または完了したタスクのステータス、期限、見積もりなどを確認できます。 
  • タスクを完了、再要求、または再割り当てするオプション。 
 
Vendor order
スクリーンショット:ベンダー用の新しい[Orders(注文)]領域 

翻訳コラボレーションの強化により、プロジェクト作成の効率化と円滑な進行を実現

プロジェクトについての会話の強化:前回の更新でお知らせしたように、プロジェクトコラボレーションが強化され、プラットフォーム内でシームレスにコミュニケーションできるようになりました。今回の新機能は、部門の枠を越えたプロジェクト関係者による、プロジェクトレベルのコミュニケーションを大幅に改善します。このイノベーションは、プロジェクトマネージャーとコンテンツ依頼者の間でカスタマーポータルを介したインタラクションを可能にするものです。ユーザーは特定のプロジェクトの枠内でメッセージをやり取りできます。 
 
この数か月間にプロジェクトについての会話の機能を強化し続け、次のような新機能を追加しました。  
 
  • 自分のコメントを削除する。送信したコメントを削除できます。この機能は、プロジェクトマネージャー、リードプロジェクトマネージャー、管理者、顧客依頼者は自動的に有効になります。   
  • コメントを管理する。他のユーザーによって作成されたコメントを削除し、そのコメントの表示設定を調整できます。  この機能は、リードプロジェクトマネージャーと管理者のロールに既定で導入されます。 
  • すべてのコメントを既読としてマークする。通知領域を整理するために、全コメントを既読としてマークできます。この機能は、すべてのユーザーが使用可能です。  
 
Project conversations
スクリーンショット:プロジェクトについての会話で自分のコメントを削除 
 
 
カスタマーポータルの機能強化:当社のカスタマーポータルは翻訳プロジェクト管理プロセスを効率化するように設計されており、依頼者がプロジェクトを作成、追跡、取得するためのシンプルで効率的なプラットフォームになっています。この体験をさらに向上させるため、カスタマーポータルをいくつかの点で更新しました。 
 
  • プロジェクトの説明など、プロジェクトの詳細情報にすばやくアクセスできる新しいサイドパネル。可視性とプロジェクト管理が向上しました。  
  • プロジェクトについての会話でのプロフィール写真の表示。ビジュアルインターフェイスを使用してユーザー体験をさらにパーソナライズできます。 
  • 視覚的な表示によるリアルタイムの更新通知。プロジェクトに変更があったときにページを表示し直す必要がありません。 
  • 「In Finalization(ファイナライズ中)」という新しい段階によるプロジェクト可視化の向上。顧客レビュータスクと、カスタマーポータルでダウンロード可能なファイルとのずれを解消します。この段階により、依頼者のワークフロー進行状況を追跡しやすくなります。 
 
Customer portal
スクリーンショット:カスタマーポータルで表示できる新しいサイドパネル 

新しい翻訳生産性機能により、翻訳プロセスを高速化

AI機能の強化:この数か月間に重要な開発を進め、翻訳のインテリジェント化を支援する言語処理AI機能をいくつかリリースしました。 
 
  • 翻訳エンジンは、登場以来、RWSのクラウドプラットフォームの中核機能です。翻訳メモリ、用語ベース、機械翻訳サービスを、言語資産の統合リポジトリへスムーズに統合し、高品質な翻訳結果を提供します。今回、言語処理AIにより、翻訳エンジンを大幅に強化して生成翻訳を提供できるようになりました。既存の言語データを大規模言語モデル(LLM)で活用することが可能です。さらに、認識された用語集を取り込み、機械翻訳から得られた結果に用語を適用できるようになりました。この機能強化により、用語集の使用が大幅に向上し、適切な用語が使われるようになっています。  
  • Trados Copilotは、Tradosプラットフォーム内で言語処理AIを活用するための主要なインターフェイスです。スマートヘルプを使用すると、ユーザーは質問の回答をすばやく簡単に見つけられます。言語処理AIは、質問を分析し、その意味を解釈し、製品ドキュメント全体を検索し、作業中のユーザーにインテリジェントなサポートをリアルタイムに提供します。この機能には、オンラインエディタから簡単にアクセスでき、ブラウザで作業しているときはその他のTradosインターフェイスからもアクセスできます。 
  • Trados Copilotの最新機能であるスマートレビューでは、翻訳分節の問題を特定し、人による厳密なレビューが必要な箇所に注意を向けることができます。また、大規模言語モデル(LLM)に、言語レビュアーとして機能して翻訳品質の0~100スコア評価とその説明を行うように指示できます。この効率化されたプロセスにより、貴重なレビュー時間の節約だけでなく、全体的な翻訳品質の向上も可能になり、市場投入期間が短縮されます。この機能は、現在はTrados Studio「Smart Review」アプリを通じて使用でき、まもなくオンラインエディタでも使用できるようになります。  
 
 
Generative AI
スクリーンショット:生成翻訳エンジンで用語を適用 
 
 
オンラインエディタの改善:オンラインエディタの改善は、この数か月間でかなり進みました。 
 
今回リリースされた音声入力機能では、テキストを口述できるだけでなく、音声で分節を確定するなどのコマンドを実行できます。130以上のコマンドが使用可能です。オンラインエディタに豊富な機能が追加され、生産性が向上します。また、視覚障害のあるユーザーにもTradosプラットフォームがさらに使いやすくなります。 
 
オンラインエディタの改善として他に、自動反映の動作をユーザーが決定できる新しい設定、個々のサイドパネルを切り離すオプション、Trados Connector for Figmaを使用してFigmaファイルをプレビューできる機能などがあります。これらの機能はすべて、オンラインエディタのユーザー体験を向上させ、プロセスの簡素化と時間短縮に役立ちます。 
 
Dictation
スクリーンショット:オンラインエディタの音声入力機能 
 
最後に、Trados Studio 2022のService Release(SR2)がリリースされ、優れた新機能と機能強化が導入されました。詳しくは、SR2新機能のブログまたはTrados Studio 2022 SR2の新機能ウェビナー(録画)をご覧ください。 
 
今回の四半期ごとの概要はお楽しみいただけましたでしょうか。次回は4月のお届けになります。ぜひ楽しみにお待ちください!当社はTrados製品ポートフォリオ全体でクラウドファーストの戦略を継続しており、お客様のビジネス目標の達成に役立つ機能をこれからも積極的に提供していきます。  
 
Tradosをまだ使用されていない場合は、ぜひ当社のソリューションの詳細についてお問い合わせください。 
Georgina Wheeler
制作者

Georgina Wheeler

Marketing Assistant
RWSのマーケティングアシスタントを務め、2年間の業界経験があります。最初は個人翻訳者市場を担当し、現在はサプライチェーン全体でTradosポートフォリオのサポートを担当しています。メディアの学士号と国際ジャーナリズムの修士号を取得しています。
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